王の顔
2018年 02月 28日2015年KBS、演出ユン・ソンシク、チャ・ヨンフン、脚本イ・ヒャンヒ、ユン・スジョン、出演ソ・イングク、チョ・ユニ、シン・ソンロク。
おはなし:「王の顔」の持ち主、光海君が王座に就くべく健闘します
空回り世子様
朝鮮王宣祖は、観相学上「王になるべからざる」顔の持ち主ってことで、王室付きの観相師に反対を押し切って王位に就わけですが、なんせ王の器じゃないため、天候は定まらず、国は飢饉にあえぐ。当然国力は疲弊し、更に日本からは豊臣秀吉が朝鮮出兵(壬辰和乱)なんてしてきちゃって泣きっ面に蜂。怒濤の勢いで漢陽を目指す日本軍に恐れをなして、王を筆頭に朝廷全体が漢陽から去ろうと大わらわ。
そんな中、颯爽と現れたのが、宣祖の次男・光海君。光海君は観相師から「王の顔」と太鼓判を押されてたもんだから、宣祖から疎まれがちだったところを、「父上の代わりに漢陽に残るから世子にしてちょ」と頼んでみたら、まさかの一発逆転で世子就任。漢陽を去る宣祖を尻目に、光海君は一部の護衛武士を率いて漢陽に残ります。一時は豊臣勢に漢陽を奪われたものの、光海君の呼びかけに応じた地方義賊がゲリラ戦を試み、やがて豊臣軍は撤退を余儀なくされるのです!
漢陽を守ったヒーローとして民衆の人気を得た光海君、その反動ですっかり人気の無くなってしまった宣祖。光海君を世子にしても、どうせ豊臣軍に討たれて死ぬだろうと踏んでた宣祖は思惑が外れてイライラMAX!光海君は光海君で、好きだった幼なじみが宣祖の側室になっちゃって大ショック。
こうして親子の溝は深~くなっていくのです。
てな感じで、国のためを思う世子光海君と、彼にいちいちケチをつけるジェラ男宣祖という図式で物語は進みます。
そしてこのドラマ、テーマが観相学なので、要所要所で観相が絡んできます。
物語の切っ掛けは宣祖の観相だし、宣祖付のソン内官は趣味で観相を学んでいる。王室秘伝の「龍顔秘書」を持ってるソン内官は、光海君に観相のレクチャーをしていて、光海君もある程度は観相が見れる。光海君最大の敵となるキム・ドチは、賤民出身ながらも観相師として入宮が許され、自分の都合の良い様に宣祖を操っていきます。
そもそも、宣祖は自分の顔が「王の顔」でないことに劣等感を抱えていて、自分の観相を補う側室を持ってみたり、自分の子供だというのに「王の顔」を持つ光海君の顔に針を打たせて観相を変えようと個々と見てみたり、利己的なことこの上ない。それは、王の顔ではないと指摘されたことで増幅された性格なのか、元からそういう性格だからこそ王の顔ではないのかって辺りがよく分かんなかったけど、ドラマ冒頭で「あんた王になったらいかんよ」と指摘した観相師の目を潰して追放してたから、もともとそんな人だったんだろうかね。
しかし、観相師も王になる直前に言わなくてもね。既に世子に柵立されてるんだから、前王が死んだら王になるでしょ。なんで世子になる前に指摘しなかったんだか。まあ、それではドラマにならんがww
自分が持っていない「王の顔」を息子が持ってるのなら、ラッキーとばかりに、さっさと息子に王位を譲って楽隠居したらいいやん、と私なんかは思うのだけど、そうならないのが朝鮮王。日本人的には、殿様も将軍も隠居の自由があるでしょって思うけど、儒教的国家じゃそうはいかないのかしら。まあ、主人公側にいない王様は、狭量で性格悪いって言うのは韓国時代劇のセオリーだけどね。
観相に振り回されてる父ちゃんと対称的に、王の顔を持つ光海君は基本自信満々。
父ちゃんに邪険にされても「いつかはわかってくださる」と常にポジティブ。ドラマ前半は猪突猛進過ぎて、やることなすこと空回りの挙げ句、一時は宮廷から追い出される始末。ここら辺の光海君は、いろんな事に首突っ込んで、その度ドヤ顔で成果を語り出すから、私が親でも「うっざ…」って思うかも(汗
でも、世子になる辺りからは自覚を持って自制するようになってからは良かったかな。あの常に眩しそうな目つきで「理不尽に耐える僕」って顔されると(かわいくない…)と思ってしまったが。
光海君を演じるソ・イングクくん、私的男子顔分類をすると、キム・スヒョンと同じ「少年漫画顔」。イケメン認定するにはちょっと癖がある感じ。
良くも悪くも「顔力」はあるんだよね。「王の顔」だけに?
光海君の初恋の君、キム・カヒもまた、自身の観相に翻弄された女性。
「2龍に仕える」という観相らしく、龍=王様なので、2人の王に仕えると言う意味。なので、娘の将来を憂いた父親から息子として育てられる。幼なじみの光海君と互いに想いあい、壬辰和乱の時はゲリラ戦に参加までするんだけど、結局は宣祖の側室に。
カヒの観相が宣祖の観相を補うってことで、宣祖が穏やかになって光海君の世子の座が安定すればと側室になるカヒ。
カヒのモデルになったキム尚宮は、親子2代の王を翻弄した悪女的扱いをされているらしいけど、このドラマでは光海君のために尽くした女性として描かれてますね。
演じるチョ・ユニは、「月桂樹洋品店」の時も思ったんだけど、前髪があると普通に可愛いけど、おでこ出すと途端に怖い顔になる人。眉毛のせいなのかな?なので、おでこ全開で女官してるときより、笠かぶって男装してるときの方がかわいいという不思議な現象が起きてます。
ちなみに、カヒの子供時代を演じたチョン・ミンソちゃん、ちょっと前までかわいかったのに、いつの間にかミニラみたいになっててビックリ。成長段階のちょっと微妙な時期なのかしら…が、がんばれ。
そして、このドラマの悪役を一身に背負ったのがキム・ドチ。
そもそもは、大同契という「倭寇から民衆守るぞ!」っていう集団の下っ端だったんだけど、世の中が悪いのは宣祖が王の顔じゃないのに王座に居るからだ!って、なんでお前が知ってんねん的な理由で宣祖暗殺を決意。そのために観相学を学び、うまいこと入宮したものの暗殺に失敗。とっさに仲間を殺して「暗殺者つかまえましたヨ」と名乗り出て、宣祖の信を得てしまうドチ。
最初は「大業のための尊い義性になってくれ」と殊勝なこと言って仲間を殺してたんだけど、大同契と決別してからは「俺様の言うこときかないヤツはコロス」に変化。更に民のための国がどうのこうの言ってたクセに、いつの間にやら「賤民出身の俺様が(宣祖と光海君ブチ殺して)王になってやる~」にバージョンアップ。
話が進むごとに、悪いことは全てこの人のせいになっていって、話の都合上、便利に使われた感満載のキム・ドチでした。
しかし、この人、朝廷のトップまで登り詰めたにもかかわらず、あっちこっちの居室の前で立ち聞きしてるのが面白かった。フットワーク軽い上に耳良すぎだから。
フットワークが軽いと言えば、宣祖もキム・ドチに唆されて、カヒと光海君の密会現場とか行っちゃうの。この辺の演出が浅いんだよね。
まあ、どっちかというとソ・イングクのアイドルドラマの様相が濃いので、本格史劇を求めちゃいけないんだろうけど。
そういえば、宣祖の正室が亡くなったあと、継妃を選ぶんだけど、なんだかデジャブって思ったら、まさかのコ・ウォニちゃん登場!「花たちの戦い」に続いての継妃役!そして、チャンニョルちゃんよりアホっぽいヒステリー娘!
プロフィール写真では可愛いのに、私の中でのコ・ウォニちゃんは、いつも三白眼でキリキリしてるイメージ。事務所ももうちょっと考えてあげてよ…
歴史に基づいたエピソード満載なので、飽きることはないけど、最後の最後に「王の顔を持って生まれるのではなく、民や国のことを思っていれば、自然と王の顔になる」とか言い出して、それじゃ観相学いらないんじゃあ…とモヤモヤしつつ視聴を終えた私でした。
余談ですが、このドラマ、ダンキンドーナツがスポンサーに入ってたんだけど、史劇のエンドロールにアルファベットって、違和感アリアリでした。